背景
”沖縄「平和の礎」お名前を読み上げる集い” では、沖縄県にある「平和の礎」の刻銘者名簿を読み上げます。この名簿には、国内外の戦没者24万1,686名のお名前が含まれています。
・沖縄県出身の戦没者 14万9,611名
・沖縄戦で戦没した各都道府県(沖縄県を除く)出身者 7万7,485名
・沖縄戦で戦没した台湾・大韓民国・北朝鮮・米国・英国の出身者 1万4,590名
(いずれも2022年6月22日現在)
しかしながら、この名簿には、「姓名」(と姓のフリガナ)のみの記載で、お名前のフリガナがありません。初めて読み上げる集いを開催した2022年は、推定したフリガナを振って読み上げましたが、本来、名前は人格の一部であり、その方が生きた証でもあります。刻銘された方の名前の読み方は、推定ではなく、一人でも多く正確な呼び名で読み上げたいと強く願っております。
また、お名前のフリガナ調査が第一優先ではありますが、戦没者のプロフィール情報も併せて調査を進めています。沖縄県が公開している刻銘者名簿では、沖縄県外出身の戦没者は「姓名」のみの記載にとどまり、沖縄県内出身者には原則掲載されている以下の情報がありません。
・出身市町村 (沖縄県内出身者は字までを掲載)
・生年月日
・死没年月日
・死没した場所
名前に加えて、これらの情報もまた、戦没者が抽象的な存在ではなく、我々と変わらぬ人であることを想起させ、戦争に対する認識を深めることは言うまでもありません。
2022年度の読み上げる集いを開催する過程でこのような状況を知った有志が中心となり、刻銘者名簿のフリガナ等の調査活動を開始しました。
近づく調査のタイムリミット
戦後78年目となり、戦争体験者はもちろん、ご遺族もご高齢となっています。「平和の礎」を訪れる方も年々減少傾向にあるとも聞いております。
「平和の礎」がつくられた1995年当時に、沖縄県内で戦没者の調査が行われましたが、名前のフリガナの聞き取り調査も、不完全ながらもある程度行われていたことは判明しています。フリガナ情報を含む刻銘者データが存在しないか県に確認をお願いしているところです。場合によっては、膨大な調査票原本を一枚一枚確認する作業を行う必要があるかもしれませんが、肝心な調査票の文書保存期間はとうに過ぎ、いつ廃棄されるかも分からない時期にきているというのが実態で、悠長にはしていられません。
県外から沖縄戦に動員された戦没者の方々のフリガナやプロフィール情報は、沖縄県のご担当者様のお力添えも頂きながら、各都道府県の担当部署に問い合わせをかけているところです。行政に情報がなく、遺族会への照会をご提案いただく場合もありますが、世代交代に苦慮しておられる遺族会も少なくないとも伺っております。
ぜひご協力をお願いします!
国籍の違いも、軍人・軍属・民間人の立場の違いも超えて、等しくお名前を刻み悼む「平和の礎」の理念を尊重しながら、慰霊と記憶の継承をよりよく行うため、この調査にお力添えいただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
この調査活動に関心を持っていただける方からのご連絡をお待ちしております!(←クリックでメール起動)
また、「平和の礎」刻銘者の方のお名前の読み方について、ご遺族からの情報提供を切に求めております。
調査の進捗状況はこのホームページで随時ご報告させていただきます。